転職が決まることに満足でなく、転職した後に満足を

転職が決まることに満足でなく、転職した後に満足を

〜転職の実例から考える「本当のゴール」とは〜

「転職が決まったんです!」
その言葉を聞くたびに、私は心から「おめでとうございます」と伝えます。けれど、同時にこうも思うのです。「ここからが本当のスタートですね」と。

転職活動は、人生の中でも大きな決断のひとつです。新しい環境、新しい人間関係、新しい仕事。期待と不安が入り混じる中で、ようやく内定を得たときの達成感は、何ものにも代えがたいでしょう。しかし、転職の「成功」とは、果たして内定を得た瞬間に決まるものなのでしょうか?

今回は、あるUターン転職の事例を通して、「転職の本当のゴール」について考えてみたいと思います。

■ Uターンの決断:きっかけは家族の病気

今回ご相談いただいたのは、東京の大手税理士法人に勤めていた40代の男性。業界でも名の知れた法人で、年収も非常に高く、社内での評価も高かった方です。順風満帆なキャリアに見えましたが、あるとき、地元に住む親族の病気がきっかけで、何度も帰省するようになりました。

「いつかは地元に戻らなければならない。だったら、早い方がいいのかもしれない」
そう思うようになったのは、家族の存在が大きかったといいます。東京でのキャリアを捨てることへの葛藤は当然ありましたが、それ以上に「家族と過ごす時間を大切にしたい」という思いが、彼の背中を押しました。

■ 地方転職の現実と覚悟

東京での年収は、地方ではなかなか実現が難しい水準でした。彼もそのことは十分に理解しており、転職活動を始める前から、各種求人情報サイトを見て、ある程度の年収ダウンは覚悟していました。

「収入が減るのは正直不安でした。でも、それ以上に、家族と一緒に過ごす時間や、地元での暮らしの安心感を得たかったんです」

このように語る彼の表情は、どこか晴れやかでした。転職によって何を得たいのか——その目的が明確だったからこそ、年収という数字だけにとらわれず、自分にとっての「本当の豊かさ」を見つめ直すことができたのだと思います。

■ 転職の目的を明確にするということ

転職には、さまざまな理由があります。キャリアアップ、ワークライフバランスの改善、人間関係のリセット、地元へのUターン、家族との時間の確保——どれも立派な理由です。

しかし、ここで大切なのは、「転職すること自体が目的になっていないか?」という問いです。

転職活動をしていると、どうしても「内定をもらうこと」がゴールのように感じてしまいます。特に、長引く活動や不採用が続くと、「とにかくどこかに決まればいい」と焦ってしまうのも無理はありません。

けれど、転職はあくまで「手段」であって、「目的」ではありません。転職によって、どんな働き方をしたいのか、どんな人生を送りたいのか。そこを見失ってしまうと、せっかく転職が決まっても、また同じような悩みを抱えることになりかねません。

■ 「すべてが揃った転職」は本当に幸せか?

転職の相談を受けていると、「年収も上がって、勤務地も希望通りで、仕事内容も理想的」という、いわゆる「完璧な条件」の求人を探している方に出会います。もちろん、理想を持つことは大切ですし、妥協しすぎる必要もありません。

しかし、経験上、最初からすべてが揃った転職には、逆にリスクが潜んでいることもあります。

たとえば、条件が良すぎるがゆえに、実際に働き始めてから「思っていたのと違った」と感じることもあります。あるいは、条件に惹かれて入社したものの、社風や人間関係が合わず、早期退職に至るケースも少なくありません。

大切なのは、「何を優先するか」を自分の中で明確にすること。すべてを満たすことを目指すのではなく、「これだけは譲れない」という軸を持つことが、結果的に満足度の高い転職につながります。

■ 転職は「決まった瞬間」ではなく「その後」が本番

冒頭の彼は、地元の中堅税理士法人に転職を決めました。年収は東京時代よりも下がりましたが、家族と過ごす時間が増え、通勤時間も短縮され、心身ともに余裕が生まれたといいます。

「今は、毎朝子どもを保育園に送ってから出勤しています。東京では考えられなかったことです」
そう語る彼の声には、確かな充実感がありました。

転職が決まったときの喜びは一時的なものです。けれど、転職後の生活の中で感じる満足感や納得感は、日々の積み重ねの中で育まれていくものです。

だからこそ、私たちは「転職が決まることに満足する」のではなく、「転職した後に満足できる」ことを目指すべきなのです。

■ 転職後の「満足」を得るためにできること

では、どうすれば「転職後に満足できる転職」ができるのでしょうか。いくつかのポイントを挙げてみます。

1. 転職の目的を言語化する

「なぜ転職したいのか」「何を得たいのか」を、言葉にしてみましょう。紙に書き出してみるのもおすすめです。目的が明確になることで、求人選びの軸が定まり、ブレにくくなります。

2. 情報収集を怠らない

求人票の条件だけで判断せず、企業の風土や働き方、社員の声など、できる限りの情報を集めましょう。可能であれば、実際に働いている人に話を聞くのも有効です。

3. 「完璧」を求めすぎない

すべての条件が揃う職場は、ほとんど存在しません。自分にとって何が最も大切かを見極め、優先順位をつけることが大切です。

4. 転職後の「適応期間」を意識する

新しい職場に慣れるには、少なくとも3ヶ月〜半年はかかるものです。最初から完璧を求めず、「育てる」気持ちで新しい環境に向き合いましょう。

■ 転職は「人生の再設計」

転職とは、単なる職場の変更ではありません。それは、自分の人生をどう生きたいかを見つめ直し、再設計する機会でもあります。

今回のUターン転職の事例のように、人生の優先順位が変わることは、誰にでも起こり得ます。大切なのは、その変化に正直になり、自分の価値観に沿った選択をすること。そして、その選択を「正解」にしていく努力を、転職後に続けていくことです。

■ 最後に:一緒に「その先の満足」を目指しましょう

転職活動のゴールは、内定ではありません。
本当のゴールは、「転職した先で、自分らしく働き、納得のいく日々を送れているかどうか」です。

そのためには、転職活動の段階から「転職後の生活」を想像し、そこに自分がフィットするかどうかを見極める視点が欠かせません。
そして、転職後も「選んだ道を正解にしていく」努力と工夫が必要です。

今回のUターン転職のように、人生の優先順位が変わることは、誰にでも起こり得ます。
その変化に正直になり、自分の価値観に沿った選択をすること。
そして、その選択を「正解」にしていく姿勢こそが、転職の本質なのだと思います。

■ 転職は「通過点」、人生の主役はあなた自身

転職は、人生の中のひとつの通過点にすぎません。
けれど、その通過点をどう通るかで、その後の人生の景色は大きく変わります。

「転職が決まった」ことに満足するのではなく、
「転職してよかった」と心から思える日々を、どう築いていくか。
その視点を持つことで、転職活動は単なる「職探し」から、「人生を見つめ直す旅」へと変わります。

私たちキャリア支援者の役割は、内定を取るお手伝いをすることだけではありません。
その方が「転職してからも満足できる」ように、人生の軸を一緒に見つけ、整え、未来を描くお手伝いをすることだと考えています。

転職は、決まった瞬間がゴールではなく、
その先の人生をどう生きるかという「問い」の始まりです。

あなたが本当に望む働き方、生き方を実現するために、
一緒に「その先の満足」を目指していきましょう。

ではまた。

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