自分を客観視できていますか?転職成功の鍵は“他人の目”にあり──Uターン転職希望者が気づいた本当の課題

先日、東京のシステム会社で働いていた若い男性が、Uターン転職を希望して弊社にご相談に来られました。
彼は国立大学を卒業し、現在の会社が初めての職場という、いわゆる“新卒から一社経験”の方です。
学歴も職歴も申し分なく、書類上のスペックだけを見れば、どの企業からも高く評価されそうな人材です。
しかし、実際にはそううまくはいっていませんでした。
これまで自己応募で数社にチャレンジされたそうですが、結果はすべて不採用。
ご本人も「なぜ通らないのか分からない」と困惑されており、少し自信を失っている様子でした。
面談の冒頭、彼はこう尋ねてきました。
「地方には、システムの会社はないのでしょうか?」
この言葉には、少し諦めのようなニュアンスが含まれていました。
東京での経験があるにもかかわらず、地方では自分のスキルが活かせないのではないか。
そもそも、地方には自分が活躍できるフィールドがないのではないか。そんな不安が滲んでいました。
でも、答えはもちろん「NO」です。
地方にもシステム会社はたくさんありますし、実際に弊社からも多くの方が地方のIT企業への転職に成功しています。
しかも、彼よりも書類選考的には厳しい条件の方が、何人も内定を得ているのです。
では、なぜ彼はうまくいかなかったのでしょうか?
それは、面談を通して徐々に明らかになっていきました。
自分自身を客観視できないという“見えない壁”
彼の話をじっくりと聞いていく中で、あることに気づきました。
それは、彼が「自分自身を客観的に見ることができていない」ということです。
自分の強みや弱み、企業が何を求めているか、自分がどう見られているか──そういった視点が欠けていたのです。
たとえば、自己PRの内容を聞いてみると、「東京での経験」「国立大学卒」「開発業務に携わったこと」など、事実の羅列が中心でした。
確かにそれらは立派な経歴ですが、「それがどう企業に貢献できるのか」「なぜ地方で働きたいのか」といった“文脈”が抜け落ちていたのです。
また、面接での受け答えについても、本人は「普通に答えたつもりです」と言っていましたが、実際には企業側が求める視点とズレている部分が多くありました。
たとえば、「なぜUターンしたいのか」という質問に対して、「地元が好きだから」という答えだけでは、企業は納得しません。
地元への思いと、企業への貢献がどうつながるのかを語る必要があります。
このように、彼は「自分の中の正しさ」だけで動いてしまっており、企業側の視点や第三者の目線を取り入れることができていませんでした。
その結果、何社受けても同じような失敗を繰り返してしまい、残念な結果になっていたのです。
他人の目で見ることで、初めて見える“本当の自分”
人は、自分のことを完全に客観視することはできません。
どんなに冷静に分析しているつもりでも、無意識のうちに自分を美化したり、逆に過小評価したりしてしまうものです。
だからこそ、時には他人の目を借りることが必要です。
今回の彼も、面談の中で私たちが指摘したポイントに対して、最初は少し驚いた様子でした。
「そんなふうに見られているとは思いませんでした」と言いながらも、徐々に納得され、「確かに、企業の立場から見ればそうかもしれませんね」と冷静に受け止めてくださいました。
この“気づき”こそが、転職成功への第一歩です。
自分の強みをどう伝えるか、企業が求める人物像にどう近づけるか──それを考えるためには、まず「自分がどう見られているか」を知る必要があります。
そして、他人の目を通して見た自分を受け入れることで、初めて本当の意味での自己分析が可能になります。
それは決して「自分を否定すること」ではなく、「自分をより深く理解すること」なのです。
彼の未来は、きっと明るい
面談の最後に、私はこうお伝えしました。
「おそらく、1ヶ月以内に良いご縁が見つかると思いますよ。」
それは単なる励ましではなく、彼の変化を見ていて本当にそう感じたからです。
面談を通して、自分自身を見つめ直し、企業の視点を理解しようとする姿勢が芽生えていました。
これまでの失敗を糧に、次のチャレンジではきっと違う結果が出るはずです。
転職は、単なる“職場の変更”ではありません。
それは、自分自身と向き合い、人生の方向性を見直す大切なプロセスです。
だからこそ、うまくいかないときほど、他人の目を借りてみることが大切です。
「なぜうまくいかないのか分からない」と感じたときこそ、誰かに相談してみてください。
きっと、自分では気づけなかった“本当の課題”が見えてくるはずです。
そしてその気づきが、あなたの未来を大きく変えてくれるかもしれません。
ではまた。
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