在職中の転職と離職中の転職、企業評価が高いのはどちらか

在職中の転職と離職中の転職、企業評価が高いのはどちらか


転職活動を考えるとき、多くの方が最初に悩むのは「退職のタイミング」です。仕事を続けながら新しい職場を探すべきか、それとも一度退職してから腰を据えて活動すべきか。これは人それぞれ事情が異なり、一概に正解はありません。しかし、企業側の評価という観点から見ると、在職中に転職活動を進める方が圧倒的に有利であることは間違いありません。


1. 企業が抱く「最初の疑問」

同じスキルや経験を持つ候補者が二人いたとします。一方は在職中、もう一方は離職中。この場合、企業は必ず「なぜ次の転職先が決まらないうちに退職したのだろうか?」という疑問を抱きます。もちろん、離職には正当な理由がある場合も多いでしょう。家庭の事情、健康上の問題、あるいは職場環境の改善が見込めないなど。しかし、採用担当者は候補者の過去を詳しく知っているわけではありません。最初に浮かぶのは「なぜ?」という疑念であり、その時点で評価は不利に傾きます。


2. 在職中の転職活動が評価される理由

企業が在職中の候補者を高く評価する背景には、いくつかの要因があります。

  • 安定性の証明
    在職中であることは、現職で一定の責任を果たしている証拠です。組織に必要とされている人材である可能性が高く、信頼性を感じさせます。
  • 計画性の高さ
    退職前に次のキャリアを見据えて行動していることは、計画性や戦略性を示します。企業は「この人は自分のキャリアを主体的に考えている」と評価します。
  • リスク管理能力
    在職中に転職活動を進めることは、収入の途絶を避けるリスク管理でもあります。経済的に安定している人材は、入社後も冷静な判断を下せると見られます。

3. 離職中の転職活動が不利になる場面

離職中の転職活動が必ずしも悪いわけではありません。しかし、企業側からすると以下のような懸念が生じやすいのです。

  • 忍耐力や責任感への疑問
    「なぜ現職を続けながら次を探さなかったのか?」という疑問は、忍耐力や責任感の不足と結びつけられることがあります。
  • 即戦力性の不安
    離職期間が長い場合、「最新の業務感覚を失っているのではないか」と懸念されます。特に技術職や専門職では、この点が大きなマイナス要因になります。
  • 経済的焦りの影響
    離職中は収入が途絶えているため、候補者が「とにかく早く決めたい」と焦っている印象を与えることがあります。企業は「本当にこの会社を選びたいのか?」と疑念を抱きやすくなります。

4. 離職中でも評価を高める方法

では、離職中の転職活動は必ず不利なのかというと、そうではありません。工夫次第で評価を高めることは可能です。

  • 離職理由を明確に説明する
    家族の介護、健康上の理由、あるいはキャリアチェンジのための学習期間など、正当な理由を具体的に伝えることが重要です。
  • 離職期間を有効に活用する
    資格取得やスキルアップ、ボランティア活動など、離職期間を「成長の時間」として説明できれば、むしろプラスに働きます。
  • 前向きな姿勢を示す
    離職を「過去の失敗」ではなく「次の挑戦への準備」として語ることで、企業に安心感を与えられます。

5. 在職中に転職活動を進める際の注意点

在職中の転職活動は有利ですが、同時に難しさもあります。

  • 時間の制約
    面接や選考のスケジュール調整が難しく、現職に支障をきたす可能性があります。計画的に有給休暇を活用するなど工夫が必要です。
  • 情報管理の徹底
    現職に転職活動が知られると、人間関係に影響を及ぼすことがあります。活動は慎重に進めるべきです。
  • 精神的負担
    現職の業務と転職活動を並行することは大きな負担です。体調管理を怠らず、無理のないペースで進めることが大切です。

6. まとめ ― 企業評価を意識した転職活動を

転職活動は「自分の人生をどう生きたいか」という大きなテーマに直結します。しかし、企業側の評価を無視することはできません。全く同じスキルを持つ候補者であれば、在職中の方が圧倒的に有利です。企業は「なぜ退職したのか?」という疑問から入るため、離職中の候補者は説明責任を負うことになります。

だからこそ、可能であれば在職中に次の転職先を決めることをお薦めします。少しでも正しく自分を理解してもらうために、そして不必要な疑念を避けるために。転職は人生の大きな節目ですが、その一歩を踏み出す際には「企業の目線」を意識することが、成功への近道となるでしょう。


ではまた

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【川根博のプロフィール】
人材業界で約15年経験後、株式会社パブス設立。 これまで、1000人以上の転職希望者と面談し転職をサポートしてきました。 現在は、転職エージェントとして地元企業や地元税理士事務所への転職支援を行いながら、地元中小企業の経営サポートや、スモールビジネスの起業サポート等、多岐にわたって活躍中。
・株式会社パブス HP▼ https://www.pabs.jp/
・会計job HP▼ https://kaikeijob.com/

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