鳥取県における税理士事務所の採用動向と地域的特徴
kawane
鳥取県における税理士事務所の採用動向と地域性を考える
鳥取県は日本の中でも人口規模が比較的小さい県でありながら、地域経済を支える中小企業や個人事業主が数多く存在しています。そうした事業者にとって、税務や会計の専門家である税理士事務所は欠かせない存在です。近年、全国的に税理士業界は人材不足が課題となっており、鳥取県でも例外ではありません。今回は、鳥取県内の税理士事務所の採用状況について、10の事務所から得られた情報をもとに整理し、地域性や働き方の変化を踏まえたコラムとしてまとめます。
採用の中心地：鳥取市・倉吉市・米子市
鳥取県内で税理士事務所の求人が集中しているのは、県庁所在地である鳥取市、中部の倉吉市、西部の米子市です。これらの都市は県内の経済活動の中心地であり、企業数や事業者数も比較的多いため、税理士事務所の需要が高い地域です。特に米子市は山陰地方の商業拠点としての役割も担っており、広域的な顧客を抱える事務所も少なくありません。
税理士法人と個人事務所の割合
今回情報をいただいた10の事務所のうち、約5割が税理士法人でした。税理士法人は複数の税理士が在籍し、組織的な対応が可能であるため、比較的大規模な顧客や幅広い業務を扱う傾向があります。残りの半数は個人事務所であり、地域密着型のサービスを強みとしています。さらに、全体の約9割が地元の税理士法人・事務所であり、県外資本の事務所は1割程度にとどまっています。このことからも、鳥取県の税理士業界は地域性が強く、地元企業との結びつきが深いことがうかがえます。
募集職種の傾向：税理士補助が中心
求人の中心は税理士補助職です。税理士資格を持つ人材の募集もありますが、資格者は全国的に不足しているため、補助業務を担う人材を積極的に採用する事務所が多いのが現状です。補助職は、記帳代行、申告書作成補助、巡回監査など幅広い業務を担当するため、事務所にとって欠かせない存在です。経験者を歓迎する求人が多い一方で、一部の事務所では未経験者でも応募可能とし、育成に力を入れる姿勢を見せています。
求められる人材像：若手かベテランか
採用方針は事務所によって異なります。若手を積極的に採用し、長期的に育成していこうとする事務所もあれば、即戦力となるベテランを求める事務所もあります。若手採用を重視する事務所では、未経験者でも意欲があれば歓迎されるケースがあり、教育体制や研修制度が整備されていることが多いです。一方、ベテランを求める事務所では、過去の経験や専門知識を活かし、すぐに顧客対応や巡回監査に従事できる人材が期待されています。
業務内容：内勤と巡回監査
募集内容を見ると、内勤のみの求人も存在しますが、多くの事務所では巡回監査を行う人材を求めています。巡回監査は顧客企業を訪問し、帳簿や経理状況を確認する業務であり、顧客との信頼関係を築く重要な役割を担います。鳥取県のように地域密着型の経済圏では、顧客との直接的なコミュニケーションが重視されるため、巡回監査の経験や適性が採用において大きなポイントとなります。
Uターン希望者への配慮
鳥取県は人口流出が課題となっており、Uターン希望者を歓迎する事務所も多く見られます。入社時期について柔軟に対応する事務所が増えており、都市部からの移住を検討する人材にとって働きやすい環境が整いつつあります。地元に戻って働きたいという希望を持つ人材にとって、税理士事務所は安定したキャリアを築ける選択肢となり得ます。
採用プロセスの変化：オンライン面接の導入
近年の採用活動において特徴的なのは、一次面接をオンラインで実施する事務所が増えている点です。Zoomなどのツールを活用することで、遠方に住む応募者でも気軽に面接を受けられるようになり、採用の間口が広がっています。これは、Uターン希望者や県外在住者にとって大きなメリットであり、鳥取県の税理士事務所が人材確保に積極的であることを示しています。
地域経済と税理士事務所の役割
税理士事務所は単なる会計処理の代行者ではなく、地域経済を支えるパートナーです。中小企業や個人事業主にとって、税務や会計の適正な処理は事業の存続に直結します。鳥取県の税理士事務所は、地域に根ざしたサービスを提供し、顧客との信頼関係を築きながら、経営の安定化に貢献しています。採用活動の積極化は、こうした役割を果たすために必要な人材を確保する動きの一環といえるでしょう。
今後の展望
鳥取県の税理士事務所は、人口減少や事業者数の変化といった地域課題に直面しています。その一方で、デジタル化やオンライン面接の導入など、新しい働き方を取り入れる動きも見られます。今後は、クラウド会計ソフトの普及やリモートワークの拡大により、業務の効率化が進むと考えられます。こうした変化に対応できる柔軟な人材が求められる時代に入っているのです。
まとめ
鳥取県の税理士事務所は、一部で積極的に採用活動を展開しています。求人は鳥取市、倉吉市、米子市に集中し、税理士法人と個人事務所が半々の割合で存在しています。募集職種は税理士補助が中心であり、経験者歓迎が多いものの、未経験者を受け入れる事務所もあります。若手育成を重視する事務所と即戦力を求める事務所があり、巡回監査を担う人材の需要が高いのが特徴です。Uターン希望者への配慮やオンライン面接の導入など、採用の柔軟性も広がっています。地域経済を支える税理士事務所の役割は今後ますます重要となり、人材確保の動きは続いていくでしょう。
ではまた
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【川根博のプロフィール】
人材業界で約15年経験後、株式会社パブス設立。 これまで、1000人以上の転職希望者と面談し転職をサポートしてきました。 現在は、転職エージェントとして地元企業や地元税理士事務所への転職支援を行いながら、地元中小企業の経営サポートや、スモールビジネスの起業サポート等、多岐にわたって活躍中。
・株式会社パブス HP▼ https://www.pabs.jp/
・会計job HP▼ https://kaikeijob.com/
