面接で志望理由を魅力的に伝えるために——「誰に伝えるか」を意識した準備と工夫

面接で志望理由を魅力的に伝えるために——「誰に伝えるか」を意識した準備と工夫
履歴書や職務経歴書に書いた志望理由は、面接でもそのまま使える——そう思っている方は少なくありません。ですが、実際の面接では、書類以上に「その人がどんな価値を企業にもたらすか」「どれだけ企業を理解しているか」が問われます。しかも、面接官の立場によって見ているポイントが異なるため、志望理由の伝え方にも“調整”が必要です。
このコラムでは、面接官の役職ごとに志望理由の伝え方をどう変えるべきか、そして面接で好印象を与えるための具体的な工夫について、実践的に整理していきます。
面接官の立場によって、見ている視点は違う
まず押さえておきたいのは、「誰に伝えるか」によって、志望理由の伝え方は変わるということです。人事担当者、現場のマネージャー、そして社長・役員——それぞれが異なる視点であなたを見ています。だからこそ、志望理由は“相手の立場”を意識して、伝える内容や言葉の選び方を調整する必要があります。
人事担当者:企業文化との親和性とキャリアの一貫性
人事担当者が重視するのは、「この人は長く働いてくれるか」「社風に合うか」という点です。ここで重要なのは、企業文化への共感と、これまでのキャリアとの一貫性です。
たとえば、企業のホームページに掲載されている社員インタビューや理念文を読み込み、「若手が挑戦できる環境に惹かれた」「チームワークを重視する文化に共感した」といった具体的な言葉で伝えると、企業理解の深さが伝わります。
さらに、「これまでのキャリアで○○を大切にしてきたからこそ、御社の△△に惹かれた」といったように、過去と現在を一本の軸でつなぐことで、納得感のある志望理由になります。
注意点としては、専門用語の多用は避けましょう。人事担当者は必ずしも現場の専門知識を持っているわけではありません。相手の理解を前提にした言葉選びが、「共感力」や「コミュニケーション力」の評価にもつながります。
現場のマネージャー:即戦力としての具体性
現場のマネージャーが重視するのは、「この人は現場で活躍できるか」「チームに貢献できるか」という視点です。ここでは、抽象的な志望理由ではなく、具体的なスキルや経験をもとに「即戦力性」をアピールすることが重要です。
おすすめなのは、「5W1H」の視点で自分の経験と企業の事業を照らし合わせること。
- Who:どんな顧客やチームと関わってきたか
- What:どんな商品・サービスを扱ってきたか
- Why:どんな目的やミッションに取り組んできたか
- Where:どんな環境で働いてきたか
- When:どれくらいの期間、どんなサイクルで仕事をしてきたか
- How:どんな手法で成果を出してきたか
たとえば、「証券営業として個人のお客様の資産運用を支援してきた経験が、不動産営業でも活かせる」といったように、業界が異なっても“顧客との向き合い方”という共通項を軸に語ることで、説得力が増します。
社長・役員:理念への共感と長期的な貢献意欲
最終面接で登場する社長や役員は、スキルや経験よりも「この人は本当にうちの会社に入りたいのか」「長く活躍してくれるか」を見ています。ここでは、企業理念への深い共感と、長期的な視座を持った志望理由が求められます。
たとえば、「御社が掲げる顧客第一主義に強く共感しています。私自身も、数字よりも信頼を重視する営業スタイルを貫いてきました。10年後には、御社の理念を体現するリーダーとして活躍したいと考えています」といったように、理念と自分の価値観を重ね合わせ、未来への貢献意欲を語ると好印象です。
また、一次・二次面接で繰り返し聞かれた質問がある場合、それは企業側の懸念ポイントかもしれません。最終面接では、その懸念を払拭するよう丁寧に説明することが大切です。
志望理由を伝える際の注意点
「どこでも通用する志望理由」はNG
「成長できそう」「スキルアップできそう」といった言葉だけでは、企業への本気度は伝わりません。「なぜこの会社で成長したいのか」「この会社だからこそ挑戦したい理由は何か」を具体的に語ることが重要です。
たとえば、「御社は中小企業向けのサービスを強みにしており、私のこれまでの営業経験が活かせると感じました」といったように、企業の特徴と自分の経験を結びつけることで、志望理由に深みが出ます。
あいまいな言葉ではなく、仮説を交えた具体性を
企業の実態は、外からは完全には見えません。だからこそ、仮説を立てて具体的に語ることが大切です。たとえその仮説が間違っていたとしても、「理解しようとした姿勢」は必ず評価されます。
たとえば、「御社は大手企業向けのサービスに注力していると推察しました。私は中小企業向けの営業経験がありますが、御社で新たなチャレンジができると感じ、志望しました」といったように、推察を交えた志望理由は、面接官との対話を生み出すきっかけにもなります。
まとめ:志望理由は「伝える技術」ではなく「関係構築の入り口」
面接での志望理由は、単なるプレゼンではありません。企業との接点を見つけ、共感を設計し、未来への貢献を語る——それはまさに、相手との信頼関係を築くプロセスそのものです。
だからこそ、事前の企業研究、自己分析、そして面接官の視点に立った言葉選びが重要になります。志望理由は「正解」ではなく「納得感」。その納得感を生むために、自分自身の経験や価値観を丁寧に編み上げていきましょう。
ではまた
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