年収よりも「人」と「空気感」を選んだ転職者の話

年収よりも「人」と「空気感」を選んだ転職者の話
先日、ある方の転職が決まりました。
その方は非常に優秀で、専門スキルも高く、何より人物的にとても明るく、ユーモアがあり、周囲を和ませる力を持った方でした。
初めてお会いしたときから、話し方や表情、ちょっとした気遣いに「この方は面接にさえ進めば、必ず内定を取れる」と確信したほどです。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
年齢が少し上というだけで、書類選考がまったく通らず、面接にすら進めない状況が続いていたのです。
ご本人も「こんなに面接に行けないとは思わなかった」と、少し落ち込んでおられました。
書類で「会ってみたい」と思わせる工夫
私は、スキルや経験よりも「人物面の魅力」をどう伝えるかに注力しました。
履歴書や職務経歴書は、単なる経歴の羅列ではなく、「この人に会ってみたい」と思わせるプレゼン資料です。
その方の人柄が伝わるよう、文章のトーンやエピソードの選び方、表現のニュアンスまで細かく調整しました。
たとえば、過去の職場でのチームへの貢献や、困難な状況を笑顔で乗り越えたエピソードなど、単なる実績ではなく「人間性」がにじむような内容を盛り込みました。
また、志望動機も、企業の理念や社風に共感した点を丁寧に言語化し、「この人ならうちに合いそうだ」と思ってもらえるよう工夫しました。
結果は、見事に思惑通り。
5社から面接のオファーがあり、すべての企業から内定を獲得されました。
予想外の選択:年収が半分でも「この会社に行きたい」
ここまでは順調でした。
しかし、最終的な選択に、私は少し驚かされました。
5社のうち、最も年収の低い企業を選ばれたのです。
最も高い企業と比べると、提示された年収はほぼ半分。
思わず、「本当にいいのですか?」と聞いてしまいました。
すると、その方はこう答えました。
> 「年収は後から取り戻せます。でも、社長の人柄や会社の空気感は、自分では変えられません。だから、ここに決めました。」
その言葉に、私は深く納得しました。
確かに、給与や待遇は交渉や成果によって変えることができます。
しかし、組織の文化やトップの価値観は、個人の力ではなかなか変えられません。
そして、それが日々の働きやすさや、長期的な満足度に直結するのです。
「人」も「会社」も、会ってみないとわからない
このエピソードから、改めて感じたことがあります。
それは、「人」も「会社」も、実際に会ってみないと本当の姿はわからないということです。
書類だけでは伝わらない魅力があり、
求人票だけでは見えない社風があります。
そして、面接という場は、単に選ばれるための場ではなく、
「自分に合うかどうかを見極める場」でもあるのです。
今回の転職者のように、年齢や条件で一見不利に見えても、
「人物面の魅力」が伝われば、道は開けます。
そして、最終的な選択は、年収や肩書きではなく、
「自分が心地よく働けるかどうか」で決めるのが、長く幸せに働くための秘訣なのかもしれません。
キャリア支援者としての学び
私自身、この方の転職支援を通じて、改めて「人の魅力をどう伝えるか」の重要性を実感しました。
履歴書や職務経歴書は、単なる事実の羅列ではなく、
「この人に会ってみたい」と思わせるためのストーリーテリングが必要です。
また、転職者が何を重視するかは人それぞれです。
年収、勤務地、職種、社風、成長機会――どれも大切ですが、
最終的には「自分にとっての幸せとは何か」を軸に選ぶことが、後悔のない選択につながります。
今回のように、「社長の魅力」や「会社の雰囲気」に惹かれて年収を捨てる決断は、
一見すると非合理に見えるかもしれません。
しかし、合理性とは「数字」だけではなく、「感覚」や「価値観」にも宿るものです。
最後に
転職活動は、単なる条件のマッチングではありません。
「自分がどんな環境で、どんな人たちと、どんな価値を生み出したいのか」――
その問いに向き合うことが、真の意味でのキャリア選択です。
そして、企業もまた、「この人と一緒に働きたい」と思えるかどうかを見ています。
だからこそ、書類や面接では、スキルだけでなく「人柄」や「価値観」を伝えることが大切です。
「人」も「会社」も、会ってみないとわからない。
だからこそ、まずは「会ってみたい」と思わせる書類を作ることが、転職成功の第一歩なのです。
それでは、また。
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